次に搾取されるエンジニアは自社開発?

4月 30, 2019

若手のみなさん、突然ですがみなさんは年収いくら欲しいですか?

未経験からエンジニアになったので、最初の数年は最低限生活が出来れば良い?

今を我慢すれば数年後にはつよつよエンジニアになって高収入になる?

技術の進歩は本当に早く、エンジニアはただでさえ自己学習が求められる職業です。

今は我慢と自分に言い聞かせて、生活費もギリギリの状態で生活してる人が2〜3年、ひたむきに努力し続けられると思いますか?

私自身、人一倍やる気はあった方だと思います。

そんな私でも、収入の低い環境ではせいぜい半年程度しかやる気は続きませんでした。


やる気はあったが・・・



前の会社は未経験で入社し、年収300万に届かないレベルでした。

ただやる気は人一倍ありました。

入社後1ヶ月でLPIC1、その1ヶ月後LPIC2、その1ヶ月後MCSA、その1ヶ月後CCNAと、かなりハイペースで資格を取得しました。

生活は厳しくても勉強だけは本当に楽しかったです。

ただ、半年を過ぎた頃から明らかに仕事のモチベーションが下がったのを今でも覚えています。

「頑張ってるのに給料が上がらない」

当たり前です。資格は沢山取れど、入社して半年しか経っていませんからw

月々の支払いに頭を悩ませ、日々の食事に頭を悩ませ、欲しいものも中々買えない。

日々の些細な悩みはストレスとなりモチベーションを削いでいきます。


「このままでは絶対に成長し続けられない」

自ら環境を変えるため、色々な企業を調査しました。

収入や福利厚生、業務内容等々・・・
しかし、中々これだ!という企業に出会うことはありませんでした。

良さげな企業があっても今の自分じゃ確実に入れないだろうと絶望することもありました。

自分に合う企業なんて無いんですよね。自分がどこまで企業に合わせられるかという視点で企業を選ばないと転職は成功しません。

とは言え見える情報から読み取れない部分は多くあり、実際に入社してみないと分からない部分は多々あります。

ならば自分で作ってやろうと決意して今に至ります。

「自分で最高の環境を作る」と決めてからはモチベーションは一気に回復しました。

そしてその約半年後、無事に今の派遣会社が始動します。

自分が派遣会社で感じていた不満点を全て排除しました。

収入面はもちろん、主観的な評価制度、煩わしい自社業務、帰属意識、全て排除しました。

それから数年経ちましたがモチベーションは維持されたままです。

次に搾取されるエンジニアは?

前置きが長くなりましたが本題です。

2007年頃をピークに最も搾取されていたのは派遣社員ではないでしょうか?

人材派遣会社グッドウィルの裁判等ありましたよね。

それから約10年、特定派遣といわれるものが廃止となりました。

徐々に派遣法が改正され、派遣社員を保護しようという動きは少しずつですが進んでいます。

ただ、一度定着したイメージは簡単に払拭されません。

そこでIT業界ではSES(System Engineering Service)という言葉が生まれました。

これは説明するまでも無いでしょう。

何か耳障りの良い言葉で結局今までとやってることは変わらない。(むしろ派遣契約より悪くなっている)

2010年代はSESで搾取された方も多いのではないでしょうか。

しかし、2019年になりSESも最悪なイメージが定着してきました。

ここからは私の予想です。
もちろん当てずっぽな予想ではありません。

事実に基づいた予測です。
派遣で大手に就業しつつ、営業もやってる立場で観測している事実を元に予測します。

結論から言うと、次に搾取されるのは今話題の自社開発社員だと思います。

こんなこと言うとSESで痛い目を見て、それを見た駆け出しの方が自社開発をまるで天国かのように憧れている現状からすると、そういった一部の方から叩かれそうですが現実を綴っていきたいと思います。

今、派遣の現場では何が起きているかと言うと、常駐を辞めて引き上げる会社が増えています。
一部とかではありません。それなりに増えています。

知り合いの経営者に何名か話を聞いてみましたが、もう客先常駐前提だと社員が集まらないという理由がほとんどでした。

客先常駐のイメージが悪くなりすぎたんですね。

なんでもかんでも若手を突っ込んで、会社の信用も無くなってきたという会社もありました。

そのため今まで常駐していた現場から仕事をもらい、請負をする方針に切り替えていくとのことでした。

いわゆる自社請負ですね。

前回の記事でも書きましたが、請負契約は成果物を定義して、それを規定の期日までに規定の品質で納品する契約です。


つまり客先常駐しないで元請けから仕事をもらうという形ですね。

自社開発と自社請負は明確に違います。

前者はオリジナルサービスの開発、後者は外注による下請け。

自社請負を自社開発と称して若手を集め、安く使い回すという未来が容易に見えます。

請負の見積もりを出す際も結局は作業期間や技術レベルを元に算出します。

いわゆる人月商売と大して変わらないんですね。

それを毎月20万そこそこで若手を使い倒すとそれなりに利益が出ます。
1次請けであれば1人月100万ぐらいで出しているでしょう。
2次請けであれば1人月80万ぐらいで出しているでしょう。

就業先が自社になった分、知った顔で仕事をできるようになるというメリットはあるかも知れません。

でも安く使い回されるのは変わりません。

そして請負も散々トラブルなっているんですよね。

突然の仕様変更による長時間残業、下請けなので請負金額も安い。

デスマーチ再び!!

人間は何度同じ経験を繰り返せば反省するのでしょうか。

結局客先常駐だろうが、自社請負だろうが契約金額や発注金額という頭打ちがある以上、給与はほとんど変わらないでしょう。

更に請負になるため賠償や、納期間際のリソース追加を出来る余裕を見ておかないといけない分、経営者はリスクヘッジしなければならないので更に給与は絞られるんじゃないでしょうか。

これだけ自社開発がブームになるということは、私から言わせれば誰かが仕掛けているとしか思えません。
恐らくプログラミングスクールやSESのエージェントが次なる金儲けのために仕掛けているのではないでしょうか。

生活に不安のない環境は成長につながる

結局客先常駐だろうが、自社開発だろうが、自社請負だろうが、生活に困窮するような環境では成長し続けられないというのが個人的な結論です。

残業が全くありません!って言っても結局年収300万程度しかもらえないんじゃ結局社員を奴隷として扱っているのと同じです。

残業が無くても給料が上がらないのであれば、余った時間で副業をしようか?どうやって節約しようか?という風に考えるのが普通です。

最初は収入が低くても年数を重ねると一気に伸びる企業なんてほとんど無いと考えたほうが良いです。

給与の伸びが良い会社は最初からある程度水準が高いですから。


なので私は仕事の場所、雇用体系はこだわりません。

収入が低い環境は成長しないと身をもって体験していますので。
つまりこういうことです。

給料は客観的な評価です。
給料が高いということは求められるレベルが高いのか、需要が高いのか、何かしらの背景が必ずあります。

給料が安いということは、悪意を持って絞られているか、その仕事のレベルが低いか、その仕事を出来る人間が多くて供給過多になっているかです。

そして給料の高い会社には必然的にレベルの高い人間が集まり、モチベーションも高い人が多いので日々差が広がっていくばかりです。

薄給社員がランチの値段や月々の支払いに悩んでいる頃、彼らは成長戦略を考え、仕事の没頭しているのです。

今一度、最初は給料は安くても良いから自社業務優先という考えを改めてみませんか?

なんだか派遣会社のポジショントークっぽくなりましたが、そう捉えて頂いても全く問題ありません。

せっかく頑張ってるんだから、相応の収入を得られたほうが必ず人生楽しくなりますから。

とりあえず数年後、「自社開発と聞いていたけどやることはただの下請けで言われたものを構築するだけだ!」とか、「自社開発、確かにプログラミングは出来るけど給料が上がらない・・・」という未来が来ないことを祈っておきます。